平成11年度の研究計画に従い、以下の3点の研究を行った。 1. PHY3遺伝子の大量発現系の確立 バキュロウイルス・昆虫細胞系での発現用組換えウイルスを用い、PHY3組換えタンパク質を発現させたが、その大部分が不溶性画分に蓄積することが明らかになった。可溶化した不溶性画分、およびわずかにPHY3組換えタンパク質が存在する可溶性画分の双方を用いてアフィニティークロマトグラフィーによる精製を試みたが、160kDaという高分子量のためかリガンドに対する吸着性が低く、本法における精製は困難であった。 2. 光依存タンパク質リン酸化能の検証 上記組換えPHY3タンパク質(可溶化した不溶性画分・可溶性画分)を用いて、光依存(明所下と暗所下で)の自己リン酸化能があるかどうかを実験した。現在までのところ、明暗に関わらず自己リン酸化能があることが示されている。光依存性については明瞭な差が検出されていない。 3. PHY3遺伝子の植物体における過剰発現 CaMV35Sプロモーター制御下のPHY3発現ベクターを導入した形質転換体4系統において、薬剤耐性マーカーのホモの系統を確立した。これらを抗PHY3ポリクローナル抗体を用いてウエスタンブロットを行い、PHY3タンパク質の発現を調べたところ、2系統において発現が確認された。これら2系統を中心に赤色光による光屈性反応を調べている。
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