研究概要 |
シロイヌナズナを用いて独自に作製したアクティベーションタギングラインからのシンク器官の発達異常を示す突然変異体unsの単離と解析を進めた。劣性の変異株uns1では、切り取り葉を糖処理したときに通常見られる糖誘導性遺伝子の発現誘導のなかで、β-アミラーゼとカルコン合成酵素遺伝子の発現が特異的に低下し、ADPグルコースピロホスホリラーゼ遺伝子の発現誘導は影響されなかった。uns1変異株は葉のクロロフィル含量が低下し光合成機能の発達異常や稔性の低下による種子収量の低下などの表現型を示すことから、UNS1が糖シグナルの受容もしくは伝達に中心的な役割を果たし、葉が糖の転流を受けシンクとして発達していく過程や花粉または胚などのシンクの発達過程に重要な因子であることを示唆する。またuns1変異は4番染色体の分子マーカーGA1から5cM,mi87から3.5cMの距離に位置することを明らかにした。 一方、同タギングラインから、種子サイズの大きな突然変異体#C712を単離した。この変異体では花の構造に異常が見られ自家受粉の効率が低下し低稔性を示す。しかし発達できた胚は野生型より30%ほど大きい。また、切り取り葉でのβ-アミラーゼ遺伝子の糖誘導性が高い。現在戻し交配等を進め、複数の表現型の連鎖やT-DNAによりタギングの可能性などを解析している。
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