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1998 年度 実績報告書

アゲハチョウの蛹表皮褐色化ホルモンの一次構造決定と作用機作の解析

研究課題

研究課題/領域番号 10740390
研究機関山口大学

研究代表者

山中 明  山口大学, 理学部, 助手 (20274152)

キーワードPapilio xathus / 蛹表皮褐色化ホルモン / 昆虫内分泌
研究概要

【アゲハチョウ蛹表皮褐色化ホルモンの部分精製とその性質】
3200個体のアゲハチョウ緑色蛹の脳を摘出し、アゲハチョウ蛹表皮褐色化ホルモン粗抽出液(2%NaCl抽出液)を調製した。このホルモンを部分精製するためにセファデックスG-50ゲル濾過クロマトグラフィーを行った。この結果より、蛹表皮褐色化ホルモンは、分子量約3000〜4000であることが明かとなった。また、イオン交換樹脂への吸着性から塩基性のペプチドであることが分かった。
更に、アゲハチョウ蛹表皮の褐色化に関わる物質が他にあるかどうかを検討するため、5種の昆虫ホルモン(JHI、20-HE、JHA、PBAN、SMPH)を褐色蛹になるアゲハチョウ前蛹の結紮腹部に投与した。投与した昆虫ホルモンはいずれも褐色化促進の効果が認められなかった。また、将来褐色蛹になる無結紮の前蛹腹部にこれらホルモンを投与しても、褐色化を阻害する効果は認められなかった。従って、蛹表皮褐色化ホルモンは新規な昆虫ホルモンである可能性が高いと考えられる。
別に、緑色と褐色型の蛹を生ずるチョウには、褐色化ホルモンが存在するのかどうかを検討するため、アゲハチョウ以外のPapilio属(キアゲハ、モンキアゲハ、クロアゲハ)の脳粗抽出液をアゲハチョウ前蛹の結紮腹部に投与した。その結果、腹部を褐色にする活性が認められた。従って、これらチョウの脳内にもアゲハチョウ蛹褐色化ホルモン活性化物質が存在することが示唆される。
【蛹化条件の違いによるアゲハチョウ前蛹期幼虫体内の代謝機構】
緑色蛹および褐色蛹を生じる条件下に置き、両条件下で得られた前蛹の脳内アミンの定量(予備実験)を行ない、明らかに両者間でのアミン量の違いが認められたので、現在、前蛹期から蛹期の各発育ステージにおけるアミン量の変動を検討中である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] 山中 明: "チョウの環境適応による蛹の色の多形現象" 山口生物. 25. 3-10 (1998)

  • [文献書誌] 山中 明: "鱗翅目昆虫(蝶類)の環境適応による蛹の色の多形現象の分子機構に関する研究" 財団法人実吉奨学会研究報告集. 16. 10-105 (1999)

  • [文献書誌] Tsurumaki J.et al.: "Effects of photoperiod and temperature on seasonal morph development and diapause egg oviposition in a bivoltine race (Daizo) of the silkmoth,Bombyx mori L." Journal of Insect Physiology. 45. 101-106 (1999)

  • [文献書誌] Yamanaka A.et al.: "Extraction and partial characterization of pupal-cuticle-melanizing hormone (PCMH) in the swallowtail butterfly,Papilio xuthus L.(Lepidoptera,Papilionidae)" Zoological Science. 16(in prress). (1999)

  • [文献書誌] Yamanaka A.et al.: "Isolation and infectivity of Klebsiella oxytoca from cadaver larvae of swallowtail butterfly,Papilio xuthus L." Information. 2(in prress). (1999)

  • [文献書誌] 伊藤靖子ら: "山口県中東部(山口盆地とその周辺)における蛾類の調査-蛾類の採集リストおよび解析の概要-" 山口生物. 別冊25巻. 1-270 (1998)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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