21世紀は、光通信、光コンピューターなどが主役となる光エレクトロニクスの時代といわれている。その中で次世代の磁石に求められているのは、従来にはない多様な磁気特性や、いろいろな外部刺激に応答する機能性である。申請者がめざしているのは新しい機能性を備えた磁性材料の開発である。本研究では、光電子移動を応用した光誘起磁化現象の検討を行った。 方法としては、新規光誘起磁性材料の構造素子として、プルシアンブルー類似型より構造上柔軟性のある8配位方CN錯体(CN^<II>[Mo^V(CN)_8])について実験を行った。 それによると、この錯体は磁気相転移温度が36Kのフェロ磁性体であることがわかり、Cu^<II>及びMo^V間には強磁性的相互作用が働いていると考えられた。また、この錯体の光磁気特性に関する実験を行った結果、光照射(400-450nm)後、誘起磁化が生じ強磁性体になることがわかった。さらに、200Kまで昇温後、5Kに冷却すると常磁性状態へ回復することから、光と熱による強磁性と常磁性をスイッチングできる磁性材料であることがわかった。
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