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1999 年度 実績報告書

半導体中の転位に対する水素誘起転位運動促進効果と歪みエピ膜の緩和制御への応用

研究課題

研究課題/領域番号 10750011
研究機関岡山大学

研究代表者

山下 善文  岡山大学, 工学部, 講師 (80251354)

キーワード転位運動 / 水素 / シリコンゲルマニウム混晶 / ガリウムヒ素 / ゲルマニウム / 格子不整合 / 緩和
研究概要

本研究で得られた知見を以下にまとめる。
1.前年度に行ったp型GaAs中の転位に対する水素誘起転位運動促進効果(HEDG効果)について,さらに実験条件を明らかにした測定を行ったところ,運動促進は転位源(スクラッチ)導入時の残留応力により,見かけ上現れたものであり,水素によるものではないことが確認された。また,n型GaAsでも促進効果は現れなかった。しかしながら,p型Ge中の転位運動については,これまでに知られていたn型Siと同じく,転位速度の活性化エネルギーが減少し,転位運動が促進されることが明らかとなった。
2.Ge基板上にGe-rich SiGe膜を作製したが,臨界膜厚以上で未緩和の膜を作製することが出来なかった。しかしながら,Si基板上Si-rich SiGe膜で膜厚がこれまでより大きい試料を作製し,転位速度を調べると,水素による転位運動促進効果が現れた。この結果はHEDG効果がある程度長い転位について見られる現象であることを示唆する。この解釈が正しければ,HEDG効果は,水素がキンクの移動障害を実効的に取り除くことにより発現しているというモデルで説明される可能性が高い。GaAsで効果が現れなかったことについても,測定している転位の長さが短いと考えられることから,全く同じ理由で効果が現れなかったと説明できる。
3.原子状水素を供給しながらSi基板上にSiGe膜を成長させた。その結果,水素を供給しない場合に比べて,緩和が進んでいることが明らかとなった。また,膜の抵抗率分布を調べたところ,膜の抵抗率が減少するという現象が起こっていることも明らかとなった。半導体中の転位速度は電気的特性により変化することが知られており,緩和の促進がHEDG効果によるものか否かは現在のところ判別できないが,後者の現象は予期せぬ新しいものであり,今後の研究が期待される。

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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