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1998 年度 実績報告書

金属酸化物表面に吸着した反応中間体分子の高速STMによる個体識別観察

研究課題

研究課題/領域番号 10750015
研究機関東京大学

研究代表者

大西 洋  東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (20213803)

キーワード走査トンネル顕微鏡 / 表面反応 / 固体表面 / その場観察 / 可視化 / 分子 / 誘電体 / 触媒
研究概要

本研究の目的は、金属酸化物に吸着した分子が表面を拡散しながら反応サイトにたどりつき生成物へ転換する過程を、走査トンネル顕微鏡(STM)を用いて吸着分子を個体識別しながらその場観察することである。さまざまな種類の化学反応を起こすサイトの位置をそれぞれ特定し、それらの構造を定め、反応サイトに捉えられた中間体の配向を決定することができれば、誘電体・透明電極・超伝導・絶縁体・触媒といった応用分野を発展させる鍵である、酸化物表面における表面反応制御の指針を提示することが可能になる。平成10年度の業績は以下の通りである。
1. 吸着種位置の相関解析
現有STMの撮像速度は毎秒0.1画面程度であるため、連続撮像によっても吸着分子を個体識別できない。このようなデータからでも吸着種相互の位置関係を抽出し、反応条件下でも分子間相互作用を統計的に評価するために、吸着種位置の空間相関解析法を確立した。本法を二酸化チタン(110)単結晶表面に吸着したギ酸イオンおよび酢酸イオンに適用して、その有効性を実証することができた。
2. 酸化物表面の酸性反応サイトの原子レベル観察
代表的な塩基性分子であるピリジン(C_5H_5N)をプローブとして吸着させた二酸化チタン(110)単結晶表面をSTM観察することによって、表面に混在する複数の酸性サイトの反応性を個別に評価することに成功した。ピリジン分子は、欠陥のない結晶表面には化学結合を伴わずに弱く吸着するが、単原子高さのステップ端に露出した配位不飽和な金属中心へはより強く吸着することを、リアルタイムSTM観察による表面移動度の評価から明らかにした。
平成11年度には、これらの成果をさらに発展させると共に、STM画像観察モードの高速化(高速走査STM)を達成して、反応分子および中間体の固体識別観察を実現する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] 大西 洋: "リアルタイム走査プローブ顕微鏡で見た金属酸化物表面と吸着分子" 真空. 44. 790-797 (1998)

  • [文献書誌] Shushi Suzuki: "Identification of Individual 4-Methylpyridine Molecules Physisorbed and Chemisorbed on TiO_2(110)-(1×1)Surface by STM" Catalysis Letters. 54. 177-180 (1998)

  • [文献書誌] Shushi Suzuki: "STM Visualization of Site-Specific Adsorption of Pyridine on TiO_2(110)" Catalysis Letters. 50. 117-123 (1998)

  • [文献書誌] Shushi Suzuki: "Study of Pyridine and Its Derivatives Adsorbed on a TiO_2(110)-(1×1)Surface by Means of STM,TDS,XPS and MD Calculation in Relation to Surface Acid-Base interaction" Journal of Chemical Society,Faraday Transaction. 94. 161-166 (1998)

  • [文献書誌] Yoshitaka Yamaguchi: "Structures and Dynamic Behavior of Catalyst Model Surfaces Characterized by Modern Physical Techniques" Research on Chemical Intermediates. 24. 151-168 (1998)

  • [文献書誌] Ken-ichi Fukui: "Imaging of Atomic-Scale Structure of Oxide Surfaces and Adsorbed Molecules by Noncontact Atomic Force Microscopy" Applied Surface Science. (in press).

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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