昨年度、反応性スパッタ装置に内部応力のその場測定できる装置を組み込むことに成功し、強誘電体薄膜PZTを試作した。本年度は最終年度であり、この装置を用いて強誘電体薄膜を作成し、内部応力を測定すると共に、共鳴散乱RBS法で非破壊に薄膜内部に存在する酸素量を測定した。これらの結果をもとに、強誘電特性や、比誘電率、疲労特性との相関を求めた。 本年度の研究計画は以下のとおりである。 1)各種成膜条件を変化させて強誘電体薄膜を作成し、酸素含有量や金属元素の含有量と、内部応力、電気的特性との間の関係を求めた。 2)内部応力の時間的変化や、疲労特性などの変化の測定を夜間無人で行うために、デジタルビデオで経時変化をデジタル記録するシステムを構築した。 3)以上の研究を元に、得られた結果を外国雑誌に発表した。 PZTの場合、内部応力が疲労特性を決めていると断言することはできなかったが、この問題は現在なお多くの議論がある難しい問題であり、とりあえず酸素含有量などとの相関を求めることで、本研究の意義はあったと考える。
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