研究概要 |
本研究では,期間内に広帯域光の光スペクトル領域干渉を用いたリフレクトメトリーを実用的な技術とするため,光源・検出法・計測システムの最適化を行い生体試料の測定にも応用可能な水準のシステム構築を目指し研究を行なっている。本年度は,主に光源とリフレクトメトリーの基礎特性に重点を置き,基礎理論の構築と基礎実験系の試作を行なった。 最初に広帯域光源としてSLDを用いた測定系を想定し,解析を行なった。解析においては,分光・検出系の装置関数を導入して計算を行ない,リフレクトメトリーによる計測が可能であることを理論的に示した。解析結果を元に数値シミュレーションを行い,検証実験によって理論の有効性を確認した。これらの解析と実験により,光源のスペクトルと空間分解能の関係や分光・検出系の分解能と最大計測可能範囲の関係等の有用な知見が得られた。ここまでに得られた知見に基づき,SLDを光源とした光スペクトル領域干渉を用いたリフレクトメトリーによる断層計測基礎実験システムの試作と計測プログラムの開発を行った。 試作したシステムを用いて基礎特性を測定するとともに,既知形状のサンプルを用いた測定と生体試料を用いた断層計測基礎実験を行なった。その結果,サンプル形状を反映した良好な計測画像が得られ,試料表面近傍の構造の画像化にも成功した。これらの基礎実験により,光スペクトル領域干渉を用いたリフレクトメトリーが断層計測に応用可能であることが示された。 本年度の研究により,当初の目標であった基礎理論の構築とシステムの試作を行なうことができ,次年度の目標である実用的なシステム構築への指針が得られた。以上の成果の一部は学術講演会にて公表済みであるが,近日中に論文誌へ投槁する予定である。
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