レーザー媒質の飽和増幅を介して非線形分極を誘起するのに必要な光強度はレーザー活性種であるイオンの誘導放出断面積とレーザー上準位寿命の積に反比例する。レーザー色素は、Nd:YAGに比べ、誘導放出断面積が1000倍近く大きい。したがって、数mJ/cm^2程度のわずかな光エネルギーで高い効率の位相共役波発生が期待できる。また、色素分散ポリマーは固体であるうえに、大面積化が容易な非線形光学材料である。 代表的なレーザー色素であるRhodamine6G色素を分散させた市販のPMMAディスク(φ50mm×8mm)を非線形媒質として使用し、縮退四光波混合配置による位相共役波発生を行った。Probe光とPump光の相互作用長を実効的に長くすることができる光学配置を考案し実験を行ったところ、Probe光およびPump光フルエンスがそれぞれ10μJ/cm^2、1〜2mJ/cm^2で200%を越える高い位相共役波反射率が得られた。また、位相共役波として再生された波面の忠実度を評価したところ、波面忠実度は色素分散ポリマー中に生じる熱レンズ効果の影響を受けることが実験的に判明した。
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