光ファイバ型非線形パルス圧縮デバイスにおける偏波変動除去手法の研究

1998 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 10750028
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 多久島 裕一 東京大学, 先端科学技術研究センター, 講師 (10272585)
• キーワード: 光ファイバ / 非線形光学 / 光パルス圧縮 / スーパーコンティニューム / 光リリトン / 偏波制御 / ファラデー効果 / 光ファイバ増幅器

研究概要

本研究では、光ファイバを用いた非線形パルス圧縮における偏波変動を安定化させ、光パルス圧縮デバイスとして確立させることを目的に研究を行っている。ファラデー回転子ミラーを用いて光ファイバ往復型構成とることにより偏波状態を安定化させるが、往復の過程で同じ伝搬条件を逆に体験するためソリトン断熱圧縮のような可逆性を持つ圧縮手法は適用できない。本年度はこの問題を解決するための理論検討と予備実験を行った。
まず始めに、光ファイバ中の非線形パルス伝搬シミュレータを開発し、光ファイバ往復型構成に適合するパルス圧縮手法の検討を行った。その結果、正常分散を持つファイバに高強度のパルスを注入してスペクトルを広げ、その後異常分散ファイバによってパルスを圧縮する方式が、往復型構成によく適合すること判明し、さらにフェムト秒パルスを得るためには3次分散を抑圧した分散フラットファイバが必要であること、得られるパルスはペデスタルを伴わない非常に良質なものになることが計算により明らかになった。
上記、理論検討をもとにパルス圧縮用のファイバの設計を行い、幾つかの予備実験を行った。繰り返し周波数10GHzの半導体モードロックレーザからのパルスを分散フラットファイバに注入し、140nmを超えるスーパーコンティニューム発生に成功し、さらに多波長光源やフェムト秒パルス光源への応用を実現した。
また、ファラデー回転子ミラーを用いた偏波安定化手法についても、基礎検討を行った。実験により、単一モードファイバレーザ、変調不安定レーザ、全光学的利得安定化レーザなど種々の線形/非線形光学効果を利用した光デバイスにおいてファラデー回転子ミラーを用いた光デバイスの有効性を示すことに成功した。

研究成果

• [文献書誌] Y.Takushima: "Single-freguency and polarization-stable fiber laser" IEEE/OSA Journal of Lightwave Technology. 16・4. 661-669 (1998)
• [文献書誌] Y.Takushima: "Gain stabilization of all-optical gain-clauped amplifier by using Faraday rotator mirror" Electronics Letters. 34・5. 458-460 (1998)
• [文献書誌] Y.Takushima: "Polarization-Stable operation of a modulation-instability laser using non-polarization-maintaining fibers" Electronics Letters. 34・13. 1323-1324 (1998)
• [文献書誌] Y.Takushima: "Generation of over 140-um wide super-continuum from a normal dispersion fiber by using a mode-locked semiconductor laser source" IEEE Photonics Technology Letters. 10・11. 1561-1563 (1998)
• [文献書誌] Y.Takushima: "Gain spectrum equalization of all-optically gain-dawped Erbium-doped fiber amplifier" IEEE Photonics Technology Letters. 11・2(掲載予定). (1999)
• [文献書誌] Y.Takushima: "10GHz,over 20-channel multiwavelength pulse source by slicing super-continum spectrum generated in normal-dispersion fiber" IEEE Photonics Technology Letters. 11・3(掲載予定). (1999)