本研究は、伝播方向に微細な周期構造をもつ光導波路を提案し、導波路の導波特性の解析と、実験による検証を試みるものである。本年度の研究では、まずビーム伝播法を用いた数値計算により、周期構造の平均屈折率が周囲と同じ場合でも導波路として機能することを確認した。横幅20μm、周期100μm、伝播距離4mm、比屈折率変調量0.8%の周期導波路では、幅10μmのガウスビーム基本モードの導波効率が約60%であることが分かった。今後は、高次モードの伝播について解析した後、学会等に発表する予定である。次に、導波路アレイにおける導波光の振る舞いを解析し、各導波路が互いに独立した信号伝達経路として利用可能な導波路間隔を算出した。その結果、Duty比が0.67、比屈折率変化量が0.045%の周期導波路の作製密度は3.1×10^5本/cm^2になることが分かった。この結果は、学会で発表済みである。実験では、フォトリフラクティブ材料としてニオブ酸リチウムを用い、光照射により周期導波路構造を形成し、導波実験を行った。光照射分布に依存した導波路構造を形成できるため、自由な形状を作製し、また更新することが可能である。周期50μmの導波路を作製し、構造変化と出力光強度変調が可能であることを示した。これらの結果は、学会・論文の一部に発表済みである。作製した導波路の平均屈折率は周囲より大きいため、今後計算結果を基に平均屈折率が周囲と同じ場合にも、導波路として機能することを確認する予定である。また、屈折率変化量が小さい場合には、導波光を確認することが困難なため、より屈折率変化量の大きい材料を使う必要がある。フォトリフラクティブ材料では、屈折率変化量は高々1×10^<-2>程度である。そのため、高屈折率な微小球列からなる導波路構造について解析を行い、周期導波路構造の形成が可能であることを、時間領域差分法を用いた数値計算により確認した。
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