本研究の目的は、長さ測定のための従来の干渉縞位相復調法によるレーザ干渉法に新たに零位法方式を導入して、干渉縞強度が最大値を維持するように2台のレーザ(半導体レーザ)の発振周波数をロックし、測定長さを2つのレーザ光の差周波数として高感度に検出することにある。このとき両レーザの波長で構成される合成波長は測定長さに一致している。位相復調法では電気的位相計の位相分解能で測定精度が制限されるのに対して、本方法では本質的に高い確度が期待できる周波数測定方式を用いるため、従来に比べて測定性能を向上できる余地がある。本年度はまず波長7800mで発振する半導体レーザヘッド部を2台製作し、温度安定化のための電子制御系を付加することでおよそ1000分の1度以内の幅に動作温度の安定化をおこない、発振周波数ドリフトを軽減を行った。次に両レーザ光を混合して二光線干渉計に入射し、各レーザ光の干渉縞強度を分離検出してそれぞれが最大値になるようにレーザ駆動電流を手動操作したときの両レーザ発振周波数差を光ビート周波数として観測した。測定距離すなわち干渉光路差を段階的に変えて周波数を測定した結果、測定距離の逆数に比例して予測通りに差周波数が変化し、本方式による長さ測定が可能であることが確認された。現時点では周波数ロックのための自動制御系を使用していないため、当然のことながら長さ測定値の含む誤差は非常に大きい。しかし自動制御で周波数ロックを実現すれば、安定かつ容易に長さを周波数値として得られると考えられ、本年度の目標は十分に達成出来たと言える。
|