本年度は本研究の基礎実験としてRapid Thermal Annealによる拡散過程の研究を行った。 特に拡散過程の研究を行うためUHV-CVD装置によりAsを単原子層のみ吸着させた後、RTA装置内で加熱、拡散させてその特性を調べた。UHV-CVD装置で10^<21>cm^<-3>程度のAsを表面に吸着させ、APCVD装置を使って表面に厚さ300AのCapping Oxideを形成した後、1000C 5secのRTA処理をすることで、接合リークの極めて少ない(<10^<-9>A)拡散長200Aの極めて浅い接合の形成に成功した。接合のシート抵抗も1.5kΩ/sqとトランジスターのLight Doped Drainとして使用するにはほぼ充分な値を得ることができた。 さらにこの手法で作成した浅い接合を使って0.05μmのデバイス試作を行った。その結果、トランジスターの閾値は〜1V程度と若干高く、まだ調整は必要なものの極微細デバイスの試作にも成功し、現在さらに微細なデバイスを試作するべく研究を進めている。 本年度は上記結果に加えてBをほぼ同様の手法で原子層吸着して拡散の特性を調べた。さらにB、Pを基板中にイオン注入した後、Nをイオン注入し、その拡散特性を調べた。以上の研究よりRTAを使った拡散の基本的メカニズムの理解が進んだ。 また、これと平行して電流注入による高速加熱のための基礎実験を行った。数センチ角の基板に数Aの電流を流しただけで1秒以内にシリコンが溶融(〜1200C)することを確認した。
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