本研究の目的はX線画像の画質と被曝線量を撮影条件で制御するために、画質の物理的要因の定量値と被曝線量を撮影条件の関数として作成し、それらを組み込んだ撮像システムの総合評価関数とそのソフトウェアを開発することである。その目的のために本年度は画質の物理的要因の定量値測定、被写体の減弱曲線測定、被曝線量測定を行った。 1. 画質の物理的要因の定量値測定 (1) 画質の物理的要因の定量値、つまりmodulation transfer function(MTF)(鮮鋭度)、Wienerspectrum(WS)(粒状性)、検出器の特性曲線(コントラスト)の撮影条件依存性を測定した。 (2) X線画像の粒状の一つである量子モトルのウィナースペクトルとMTFとの関係はスクリーンの厚さに依存することを実験と理論で示した。 (3) コントラストの定量値である特性曲線は管電圧50-100kVの間ではほとんど形に変化がないことを実験と理論で示し、管電圧40kV以下では形が変化しうることを理論的に示した。 (4) 濃度依存性において両面乳剤と片面乳剤のウィナースペクトルの関係を究明した。 2. 被写体の減弱曲線測定 アクリル板を被写体とし、半導体検出器を用いてX線スペクトルを測定し、減弱曲線をいろいろな管電圧で測定した。 3. 被曝線量測定 アクリル板に入射するX線スペクトルとアクナル板の表面での後方散乱係数を測定し、表面での吸収線量をいろいろな管電圧で求めた。次年度は被写体内の吸収線量分布も求め、実質的な被曝線量を求める予定である。
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