前年度の調査結果を踏まえて、今年度は、イメージングプレートの具体的な応用を目指し、繰り返し使用限界、三次元測定の可能性、物理実験への応用等に関する調査を行った。イメージングプレートを線量測定に使用する場合、陽子線の照射によって損傷が引き起こされ、応答特性が変化することが懸念される。そこで、繰り返し使用限界を見積もるために、強度の強いビームによる過度の照射を行い、感度の変化を測定した。ビームのプロファイルが二次元のガウス分布で表されることを利用して、単一のイメージングプレート上に250MeVの陽子線を4.3×10^13(protons/cm^2)までのフルエンスで照射した。その結果、水に対する付与線量で、約3000Gyを超える辺りから、明らかな感度の低下が観測された。また、この感度の低下は熱的な刺激によりある程度回復することも確認された。以上のことから、通常の使用(一回あたり1Gy以下)の範囲では、実用的には感度の低下は無視できると結論出来る。 複数のイメージングプレートを、吸収物質間に適当な間隔で配置できるような専用のフォルダーを製作し、スタック状に並べたイメージングプレートに一度に陽子線を照射して、その三次元線量分布を測定するシステムを構築した。このシステムを用い、不均一ボーラスを通過した陽子線の線量分布を測定し、治療計画アルゴリズムの妥当性の検討に利用した。
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