あらかじめ使用する計算機環境を特定せず、異機種計算機を結合したヘテロジィニアスコンピューティングを含む、いかなる並列計算機環境においても、高い並列効率のもとでの大規模解析を実現する並列有限要素解析コードの開発を目的とし、初年度では以下の研究を遂行した。パーソナルコンピュータ(DEC Alpha 21164、2CPU)を購入し、現有設備である、ワークステーション(Sun Ultra Sparc 1/200MHz.HP PA9000/735)およびパーソナルコンピュータ(Intel Pentium 200MHz等)で構成されているコンピュータネットワークに加え、現在世界市場のシェアの多くを占める、主要ワークステーションおよびパーソナルコンピュータを含んだ、ヘテロジィニアス並列計算機環境を構築し、今日並列計算用通信ライブラリの標準となっている、汎用ライブラリであるPVM(Parallel Virtual Machine)およびMPI(Message Passing Interface)を実装した。既に本研究代表者らにより開発済の、超並列計算機、およびネットワーククラスタ型仮想並列計算機のための、領域分割法を用いた並列有限要素解析コードを基とし、ハードウェア依存部分を削除し、高効率を実現できる並列有限要素解析コードの開発を行った。新しい計算機環境への移植の際には、PVMまたはMPIを備えていることが条件となるが、将来的にはこれらの汎用並列ライブラリが存続する保証はされ得ないので、これらの利用についても、並列処理に必要最低限となる通信部分のみの利用に留め、依存率を極力低く保つことにより、柔軟性を備えたシステムの構築を実現した。
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