研究概要 |
高速衝撃試験の前段階として,低速衝撃による解析を行なった. まず,数値解析については,流体で満たされた薄肉構造物に飛しょう体により衝撃を与えた場合の,飛しょう体および構造物の弾・塑性挙動を有限差分による衝撃解析コード(AUTODYN-2D)により調べ,実験条件および実験装置の検討を行なった.直径150mmの周辺固定支持されたアルミニウム円板(板厚2mmおよび5mm)への鋼球による横衝撃を,片側に流体(純水)が満たされる場合と満たされない場合について調べたところ,その衝撃挙動は異なり,貫通限界にも差がみられた.また流体がある場合は,衝撃点を中心とする圧カ波が発生し,衝撃速度500m/sの場合では,衝撃点から約50mmまで,数100kPa程度の圧力が到達することがわかった.さらに,試験片に流体の体積弾性率と近い高分子材料を用いたところ,その衝撃挙動は,アルミニウム合金に比べ,流体の影響が顕著になることがわかった. 次に,その結果をもとに,実験装置を作製した.円筒管の片側に円板試料を直径150mmで周辺固定支持できるようにし,他方は蓋をして流体を満たすことができるようにした.また,圧カセンサは衝撃点から50mm以内の2ヶ所に設置した.板厚2mmのアルミニウム円板を用いて,液体の有無の影響を調べたところ,衝撃速度約200m/sの場合,貫通後のアルミニウム円板の形状に差がみられ,液体が満たされている場合は中心部のみに変形が集中する結果となり,局所的変形がおこっていることがわかった.今後は,流体の圧カ変動の測定結果を詳細に調べ,さらには試験片の材質を変えることにより,流体で満たされた薄肉構造物の耐衝撃特性に及ぼすパラメータについて調べる.
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