平成10年度はマイクロマシンの表面にテフロン系膜を堆積させる事を目的として、保有するプラズマ重合装置の改造を行った。改造点は、l)より均一な膜を得るために装置真空度を向上、2)基板加熱をしながら成膜するために基板ヒーターの取り付け、3)液状材料源からガス状材料源への変更、4)正確なガス流量を得るためにマスフローコントローラの取り付け、5)添加ガスラインの追加等である。それらの改造後各種条件出しをした結果、従来プラズマテフロン系膜の問題点であった耐熱性と成膜速度を大幅に改善できた。しかしながら均一性に関してはそれほどの改善は見られず、特にアンダーカットを有する構造体への成膜に関してまだ問題を有している。この膜による付着防止の効果を確認するため本学の固体機能デバイスセンターの半導体製造設備を用いてシリコン加速度センサの試作を行い、この試料に対してテフロン系膜の製膜を行い付着防止の効果を確認した。また、このテフロン系膜は良好な撥水性を有しており、各種センサや工学部品の耐湿度対策に有効だと考えられ、現在各種センサにテフロン系膜の堆積を行いその効果を評価している。一方、単分子膜形成法に関しても従来報告されている材料とは異なる材料を用いて単分子層膜の形成を行った。その結果、撥水性の膜の形成に成功したが、膜の均一性や品質がプラズマ重合法より劣っている事が判明したため、現在は研究を中断している。また、物理的に表面を凸凹にして表面エネルギーを減少させ付着や摩擦を減少させる方法に関しては、陽極化成法によりシリコン表面に微細穴を形成することにより撥水性が向上する事を世界で始めて発見した。その後、本学の半導体製造設備を用いて、シリコンウェハを加工して付着の程度を評価する試料の作成を行い、試料表面を凸凹にして付着防止の効果を確認した。
|