近年、機械構造用セラミックスやシリコンウエハ等の各種硬脆性材料の精密研削加工技術の進歩はめざましい。しかし、研削加工液中に浮遊する微細な切りくずや砥粒ならびに結合剤の破片が、研削加工面にスクラッチを発生させ、研削仕上げ面粗さの増大等を招くという問題がクローズアップされており、研削加工液のろ過に関する問題が極めて重要な研究開発課題となっている。 本研究においては、従来と比較し、より効率の高い研削加工液の精密ろ過を行うために、タービュレンスプロモータを膜面上に設置し、分散液に乱れを与えるこれまでの方式に代わり、クロスフロー方式のろ過装置の上流側に分散液の旋回流型流入口を設置することにより、流入する分散液が膜面と平行に、かつ円筒形精密ろ過膜のまわりを旋回しながら高速流動し、形成されたケーク層を膜面上から連続的に掃流して、高速分離を行うクロスフロー方式の研削加工液のろ過装置を開発し、実験条件と膜透過流束の関係を検討した。 本研究においては、開発したろ過装置のろ過特性を明らかにすることを目的としており、旋回流型流入口における流入口の角度、圧力およびレイノルズ数が、膜透過流束に及ぼす影響について検討した。ならびに、膜透過流束を次元解析することにより、膜透過流束を簡潔に表示することのできるクロスフローろ過実験の条件パラメータを提案し、クロスフローろ過実験の条件パラメータと膜透過流束の関係を実験式で表した。これより、実験条件が定まれば、実験式より膜透過流束を求めることができるようになり、実用的なろ過装置の設計に必要な基礎資料を得ることができた。
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