研究概要 |
本研究では硬脆材料の精密切断・スライシング技術である外周刃切断方式に関して,昨今の環境保全問題に対応させ得る加工技術の確立を目指し,本加工方式に必要不可欠となる加工液使用量の飛躍的な低減化に向けての検討を行った.具体的には,極微少量の加工液を高速空気流(エアー)によって加工部へ高速供給させ.さらには,切断加工中の工作物側に鉛直方向への微小振動を作用させることによって,加工液のミスト効果を高めることにした.平成10年度においては,新しく考案した本加工法の基礎的な加工特性に関する検討を行ったが,以下に,本年度明らかになったことを記述する. (1) エアーミスト加工液の供給する際の最適条件について検討を行った結果,エアー流速が加工特性(特に,切断抵抗)に及ぼす影響は大きく,エアー流速が大きいほど切断抵抗は低減され,更に加えて,その傾向は振動切断方式では顕著に表れる. (2) 上記の事柄に関して,エアーミスト加工液供給用ノズルの設定位置は可能な限り加工部に接近させ,エアーのポテンシャルコア内に加工部が位置するようにセットすることによって,エアーミスト加工液の高速ジェット供給が可能になり,また,好結果も得られる. (3) 加工液使用量の低減化について検討を行った結果,エアーミスト加工液による振動切断方式では従来の加工液供給方式における使用量(約4,000g/min)に比較して,100分の1(40g/min)程度にまで低減化しても良好な切断性能が得られる.
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