研究概要 |
マイクロ切削・研削加工技術は,高品位な表面粗さと高い形状精度を備えた三次元形状を創成することができるという特徴をもって一方で,工具とワークが直接接触して加工が進行するため,両者の間には加工抵抗が発生し,ワークが微細になればなるほどその加工抵抗によるワークの加工中のたわみ量が無視できない量となり,加工後のワークの形状精度を悪化させる要因となってしまう.そこで本研究では,微細研削加工においてワークの加工中のたわみ量が加工精度へ与える影響について簡単な細棒の加工実験を通して示す. 加工中のワークのたわみが加工精度に与える影響を観察するために,以下に示すような加工実験を行った.まず,φlmmのタングステンの細棒を用意し,先端約5.5mmを出して加工機に固定した.そして先端約1.6mmの部分を,ワークを回転させながら根元から先端へ砥石を移動させることにより棒の径を細くしていった.加工前ワークの外周と砥石が接触しはじめる位置を切込方向の原点とし,ここから切込量1μmで130回計l30μmの切り込みを行った.加工後のワークの直径は加工機上に設置したレーザ寸法測定器を用いて,測定位置を1mm毎移動させながら測定した.すると,細棒の先端の部分は根元に近い部分に比べて5μ程度直径が太くなっている様子が観察された.これは,細棒の加工においては先端へいくに従って加工抵抗による細棒のたわみ量が多くなり,その分削り残りが発生していることを示している.つまり,ワークの径が比較的大きな通常の加工においては無視することができた加工中のワークのたわみ量が,ワークの径が長さに対して小さくなった場合には加工精度を悪化させる大きな要因になりうると言える.
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