アスペクト比の大きな細長いマイクロシャフトの加工において、昨年度の研究で分かったように径方向に切り込み軸方向に送る加工法を用いると、シャフトの先端部で加工抵抗による逃げが発生し、削り残しが生じ、結果的に先端部ほど径が太くなってしまう。この現象は材料力学的なコンピュータシミュレーションでも確かめられた。そこで、この径の不均一を防ぐために今年度は、先端部から軸方向に切り込みを行う加工法を行った。この方法は加工時に加工誤差を発生するたわみを抑制する手法であるといえる。コンピュータシミュレーションでも細長い梁の長さが短いほどたわみ量が小さくなることが確かめられており、本加工法の妥当性を裏付けている。本手法の妥当性を確かめるために細棒の加工実験を行った。超硬合金製の細い棒の先端を本手法により#600のダイヤモンド電着砥石を用いて加工を行った。加工後の細棒の直径をレーザスキャンマイクロメータにより数箇所測定した。その結果、長さ4.5mmの先端部の直径が82.1μm、根元部の直径が82.8μmとなり、加工時の加工抵抗による細棒のたわみによって発生する径の不均一が見られなかった。つまり細棒において高アスペクト比の加工を行う際には、径方向に切り込み軸方向に送る加工法では径の不均一が発生するため、先端部から軸方向に切り込む加工法が加工時のたわみ量を小さく抑えることができ加工精度の面で有効であることが分かった。
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