乱れを含むMHD流れの基礎的な性質を理解するために、以下のような研究を行った。 1. 非定常三次元数値シミュレーションにより液体金属MHD流れ中の乱れの空間発展情報を得た。計算結果から以下のような結論を得た。 (1) 磁場が強い場合は、MHD拡散により乱れは二次元化する。 (2) 磁場が弱い場合は、流体慣性の非線形効果により乱れは三次元化する。 (3) 非線形効果とMHD拡散のいずれが卓越するかは、ハルトマン数だけでなくレイノルズ数にも依存する。 (4) 本研究で調べた条件範囲では、主流に乱れがある場合でもハルトマン境界層は安定である。 2. ハルトマン境界層が安定であることを仮定したモデル方程式を構築し、解析を行なった。モデル方程式の概要および解析結果が既に得られている問題は以下のとおりである。 (1) ハルトマン境界層の流れ場および電場の近似解を解析的に求め、主流および側壁境界層との相互作用をモデル化した。 (2) 主流および側壁境界層の各変数を、磁力線方向の座標に関してフーリエ級数展開し、得られた非一様収束フーリエ係数にたいする方程式を導出した。 (3) 上記の方程式を使い、減衰渦にたいるす線形近似解を解析的に求め、乱流エネルギーの散逸に関する基礎的な知識を得た。
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