研究概要 |
将来的に大規模な流れ場のシミュレーションを高速に行うためには多数のプロセッサを用いる超並列計算機を使用することが不可欠である。より高速に計算を行うためには1プロセッサ当たりの格子点数を少なく抑えて計算を行ういわゆる細粒度並列計算が必要となるが、細粒度においては並列計算効率が著しく悪化することが報告されている。したがって細粒度の場合であっても効率を高く保つ計算手法の確立が急務である。本研究では、細粒度並列計算に適した非圧縮性流れ解析手法の開発を目的とした。平成9年度までの研究により運動方程式と連続の式を同時に緩和する連立解法を用いると、2次元直交座標系における定常問題において1プロセッサ当たり格子点数が128点のときでも正味並列効率が80%以上と高いことが示されている。平成10,11年度おいては工学的に重要な問題に連立解法を適用するべく、非定常問題および曲線一般座標系における連立解法の評価を行った。3次元直交座標系における非定常問題では1プロセッサ当たりわずか64点でも62%と非常に高い効率を示した。従来、連立解法は直交座標系における使用に限定されていたが、本研究では一般曲線座標系に拡張した連立解法を開発した。その結果、1プロセッサあたり64点の3次元非定常計算において46%の正味効率を示した。一般曲線座標系における計算の複雑さのために直交座標系に比べて効率は低くなるものの他の計算例と比較すると格段に高い数値であり、一般曲線座標系における連列解法が細粒度並列計算に適していることが示された。さらに計算速度を高めるために、加速手法として外挿法を従来導入しており、平成11,12年度においては加速性能改善と非定常計算への適用の基礎研究を行った。非定常問題では解の履歴を多く参照できないため加速率は1.1未満と小さな値に留まった。これについては今後さらに研究を行う予定である。
|