研究概要 |
研究によって得られた新たな知見等の成果 : (1)本研究において,供試相変化混相媒体として選定したエチレングリコール水溶液と氷粒子の混合物は,液相である水溶液の濃度により混相媒体の性状が大きく異なり,流動特性ならびに熱伝達特性に大きく影響を及ぼすことが明らかとなった。 (2)本研究により構築した固相率測定装置は,電気伝導度法の原理を応用することにより,任意の場所でのスラッシュアイス固定率を,±4%の精度で測定することが可能である。 (3)ビデオカメラによる加熱面近傍の流動・熱伝達挙動の観察により,微視的な相変化メカニズムの把握を行った。その結果,氷粒子に働く浮力および慣性力の影響により,混相媒体中の氷粒子が試験部加熱面近傍に堆積し,頻繁に加熱面に接触する条件ならびに,加熱面近傍において局所的な固相率が疎になる条件が存在することが確認された。 (4)氷粒子に働く浮力により,氷粒子は試験部上部に堆積し,試験部上下において固相率分布が大きく異なることが明らかとなった。そのため,試験部加熱面での熱伝達特性は,固相率分布の影響を強く受け,氷粒子が堆積し加熱面において接触融解熱伝達の形態となっている試験部上部では,氷粒子の融解潜熱の影響が強く,一方,液相を介した対流熱伝達の形態となっている下部加熱面においては,流速の影響が強く現れる傾向が認められた。 (5)試験部流路断面高さを変化させることにより,流路内の固相率分布および流速分布が大きく影響を受け,その結果,熱伝達特性は流路高さが低いほど高くなる傾向が認められた。
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