本研究は超急冷凝固を伴う熱的相互作用を応用し、アモルファス合金を含む微粒子製造に関する基礎研究である。平成11年度は昨年度行った実験を参考にしつつ、溶融金属としてスズ(Sn)及びウッズメタルを用いて、低温液体中(水)に落下する実験を行った。これにより、アモルファス合金を作る上で重要な爆発後に得られる粒子の粒度分布を調べた。その結果、純金属である溶融スズを使用した場合には、爆発後に得られる平均粒径がおよそ800〜1000ミクロンであることが明らかとなった。そして、そのうち100ミクロン以下の粒子割合は重量割合でおよそ10%程度になることが分かった。一方、自由液面近傍で蒸気爆発が発生する場合には、完全な微粒化が終了する以前に凝固してしまうために、本手法が微粒子作成に十分に利用できないことも分かった。さらに、水温が高くなるにつれて微小粒子の割合がわずかに増加することも併せて示した。ウッズメタルについても、粒度分布に関しては同様な粒度分布が得られることが分かった。ただし、粒子形状については溶融スズの場合はすべての粒径について複雑で入り組んだ形状の粒子が作られるのに対して、合金のウッズメタルを使用した場合にはいずれの粒子径についてもほぼ球形の粒子が作られる事が実験的に示された。併せて微粒化プロセスの詳細な観察を行うことにより、接触界面における過熱液層中の自発核生成を想定した簡単な物理モデルを作り、プロセスの現象論的解明を行った。
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