研究概要 |
壁面に沿うせん断乱流は,工学・工業上において極めて重要な現象であり,資源問題や環境問題が表面化した現在において,それらを人為的に制御することは機器の高性能化,高効率化,小型化等を図るための大きな技術的課題である.本研究では,壁面乱流のアクティブ制御に用いるマイクロ・アクチュエータの基本構造を開発し,壁乱流の準秩序構造をセンシングしながら多数のアクチュエータを適切な位相で動作させて制御を行い,制御成績を定量的に評価することを目的としている. 本年度は,まず,制御の評価に用いるためのチャネル風洞実験装置を製作した.風洞は,チャネル幅5cm,チャネル高さ50cm,全長約5mの開放型であり,低騒音軸流式ファンによって中心速度10m/sまで設定することができる.実験装置の性能を評価するため,流れ方向の静圧勾配の計測を行った結果,平均流速と静圧勾配の関係が,従来の実験式と良く一致することを確認した.また,マイクロマシン技術を用いて製作されたマイクロ熱膜センサを用いて,壁面せん断応力乱れの計測を行い,乱れの特性が従来の知見と良く一致することを示した. 一方,アクチュエータの開発については,消費電力が小さく,高い動特性を有する,電歪ポリマーを用いることを検討し,ラージスケールモデルによって,その可能性を確認した.また,フォトファブリケーションによる製作方法の検討を行い,適切な電極の材質についても検討を進めた.
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