本年度は多孔質体内の乱流現象を解明すべく二次元構造体である角柱群及び円柱群に対する可視化実験を実施した。ダルシー域、Forchheimer域の定常層流域から、非定常層流域及び乱流域にわたる広範囲のレイノルズ数範囲に関し、構造体周りの微視的流動様式の遷移を詳細に検討した。流動様式の遷移レイノルズ数はこれまで行った二次元非定常数値シミュレーション結果とほぼ一致し、非定常層流域での流れの周期性を示すストローハル数は実験、数値解析ともに0.6であった。この様に、これまでの周期境界条件を用いた微視的数値シミュレーション手法は多孔質構造体内の非定常流動場をほぼ正しく予測することを確認したが、より高レイノルズ数域では流れ場が三次元的挙動を示すことが可視化実験より判明した。さらに高レイノルズ数域に対しこの計算手法を適用すべく数値解析コードの三次元への拡張を行った。 また、可視化手法に関しては本年度は定性的な評価のみにとどまったが、定量的評価を可能にすべく低粒子画像に対するPIVシステムを構築し、標準画像に対するその特性を詳細に検討した。本可視化実験にこのPIVシステムを導入することは容易であるが、本年実施した可視化実験の検討より微視的流動場の定性的把握において、高粒子密度の実験画像を用いることが極めて有効であることが判明したため、本年度開発したPIVシステム内に高粒子密度に対するアルゴリズムを追加修正する必要があることが分かった。
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