本年度は、昨年度の研究より判明した多孔質体構造体周りの微視的流動様式つまり、ダルシー域、Forchheimer域の定常層流域から、非定常層流域及び乱流域についてさらなる検討を行うべく、二次元構造体である角柱群および単独角柱について、その流動場の三次元構造に注目した可視化実験および熱線流速計を用いた流れの非定常性についての周波数測定を実施した。これまでの研究などにおいて、多孔質体内流動場では、レイノルズ数300程度での乱流の発生が指摘されてきた。本年度の可視化などによる検討の結果、二次元構造体群に関してではあるが、いわゆるカルマン渦の生成域である非定常層流域のさらに高レイノルズ数域ではそのまま乱流へと遷移するのではないことが判明した。この領域では、三次元的渦の生成が見られるものの、その周波数特性は、乱流特有の高周波成分を持たず、カルマン渦周波数に若干の高周波成分が付加した状況にある。この領域は、単独角柱には見られず、構造体の存在による渦の拘束効果、干渉の効果であると考えられる。二次元構造体である角柱群において、この領域への遷移はレイノルズ数1500で見られたが、三次元構造体である球群などでは、その流動様式が三次元性を有することから、300程度での遷移となり、これまで乱流として据えられてきたことが判明した。 また、可視化手法に関して、三次元的可視化手法の開発を行った。また、PIVシステム内に高粒子密度に対するアルゴリズムの追加修正を行ったが、非定常性の高い本実験対象においては、大きな成果を上げることはできなかった。今後、更なる改良の必要性がある。
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