マイクロアクチュエーターあるいはマイクロエンジンへの応用を念頭に、マイクロメートルオーダーの気泡の生成およびその機構の解明を進めている。今年度はまず200種類にもおよぶマイクロ電気ヒーターを九州工業大学マイクロ化総合技術センターの半導体加工装置を用いて製作した。市販されているサーマルインクジェット用のヘッドに内蔵されているマイクロヒーターは100ミクロン程度の大きさであるが、本研究では1ミクロンまでの小ささを実現するため、シリコンウェハー上の酸化膜(絶縁材)に金属で導線を描き、その線幅を局所的に変化させることでジュール発熱させるという方法を採用した。一般に微小な気泡ができるためには局所的に非常に高温な部分を作ることが必要だからである。これまでのところ段差型とX字型のヒーターを用いて10ミクロン以下の気泡の生成を確認しており、気泡の成長の様子も新たに購入したレーザーフォーカス変位計でサブミクロンオーダーの精度で計測が可能となった。温度場との関連やヒーター形状の影響など詳細な検討は継続中である。またCWレーザー加熱による微小気泡の生成も試みたが、吸光部であるところのカーボン系塗料をコートした面積を10ミクロン以下にするのが困難で100ミクロン以下の気泡の安定生成には至っていない。一方、理論的に現象を理解するための手段として二相流を扱える数値コードをCIP法とC-CUP法を組み合わせて作り、界面の大変形にも適用可能などその有効性を確かめた。
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