研究概要 |
エアーブリージングエンジンであるスクラムジェットエンジンの燃焼器には,後向きステップ後部の再循環領域内に燃料を噴出し火炎を保持するものがある.実用化へ向けた難題として,噴射された燃料と酸化剤である主流空気との混合過程の正確な把握が挙げられる. 平成10年度は,超音速主流と噴流との混合過程の把握を目指し,主流・燃料ともに非反応性を仮定した流れ場について,二次元スリットあるいは三次元円孔形状を持つ燃焼器内部の数値実験を行った.なお,混合過程において重要パラメータである再循環域での燃料の滞留時間の見積もりには,再循環域高さを用いた. 二次元スリット噴流解析においては,各種条件下での超音速主流とステップ後流から噴射される燃料噴流の干渉に着目した.よって,各種変数(噴流主流動圧比,主流全圧,主流全温,主流マッハ数)の値を変化させ数値解析を行い,変数が再循環域高さに及ぼす影響について検討した.よって,再循環域高さは主流静圧と噴流静圧との比によってほぼ整理できることを明らかにした. 三次元円孔噴流解析においては,噴流主流動圧比を変化させ数値解析を行った.動圧比変化による流れ場への影響は,二次元スリット噴流の結果と同様の傾向を示すことが明らかになった.また,計算領域を変化させることで,燃焼器内の側壁の影響について検討を行い,側壁位置の選択によってはその影響はほとんど無いことがわかった.
|