研究概要 |
従来のテンドン制振器に対して,制振機構を改良した並列支持型のテンドン制振器を提案した.その制振特性は数値実験により評価した.また,並列支持型テンドン制振器を製作し,実験を行って制振性能を検証した.具体的成果を以下に示す. 1 並列支持型テンドン制振器の提案とその特徴の整理 並列支持構造を用いたことに起因して,(1)制御力が効果的に作用する(2)制振対象に付加的な力が加わりにくく,座屈を回避できるなどの利点が考えられる.欠点としては,重量が増加してしまう点がある.しかしながら,制振効果が高く,駆動用アクチュエータは小型化が可能である. 2 制振特性の解析・評価/従来の制振器との比較/制振実験の実施 この制振器を用いた振動制御系を構成した.制御系は,振動抑制やロバスト安定性の設計仕様を満たすようにH_∞制御理論に基づき設計した.その結果,優れた制振性能を発揮することを確認した.受動制振における効果も確認している.数値シミュレーションによれば,従来のテンドン制振器と性能比較して,制振特性が飛躍的に向上している.さらに,実験装置を製作し,数値シミュレーションの結果を実験により検証した.その結果,今回提案した並列支持型テンドン制振器の機構改良による効果を明確に示すことができた. 3 同時最適化設計適用による制振特性向上 本研究で提案した制振器の特徴は,並列支持機構にある.支持状況により制振器の特性は大きく変化すると考えられる.したがって,特に,支持構造系の寸法パラメータを与えることが重要である.そこで,数値シミュレーションにおいて同時最適化設計を実行した結果,制振特性の優れた構造系のパラメータとコントローラを決定できた.今後,同時最適化設計を実験装置に適用する計画である.
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