研究概要 |
まず,ダクト内部の一次元音場を対象とした能動的音響制御に適用するハウリング抑制手法について検討を行った。 能動的音響制御におけるハウリングは制御音源から出力された制御音が上流の騒音検出用センサによって再検出され,制御系内部で発散することによって発生する。この現象を抑制するために,本研究では制御音源を2つ用いることで上流側の騒音検出用センサに制御音が検出されないように制御系を構成する手法を提案し,この手法によってハウリングの発生を抑制できることをシミュレーションで確認した。シミュレーションでは,実際の実験用ダクトにこの手法を適用することを考慮して,境界要素法を用いて内径200mm,全長2000mmのダクトを仮定して音場の特性を求め,その音響特性を用いている。今後,仮定したダクトに相当する実験装置を用いて実験を行い,結果を比較・検討する予定である。 シミュレーションの際に用いた適応制御アルゴリズムは音響制御に広く用いられているFiltered-x LMSアルゴリズムであり,このように一般的な制御手法に併用して適用可能であることは,本手法を実用的なものとするにあたって有利であるといえる。 また別に,外部から騒音が入射する音場を対象として,3次元音場に対する音響制御についてもシミュレーションおよび実験を行い,単一周波数の騒音に対して,騒音検出用センサ,制御音源,誤差検出用センサを適切に配置することでハウリングを引き起こさず,最大で25dB以上の消音効果があることを実験的に確認した。
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