研究概要 |
ロボットマニピュレータの運動性能を向上させ,かつ消費エネルギーを削減するためには,アームを軽量化することが必要である.軽量化されたフレキシブルロボットマニピュレータにおいては,一般に固有振動数が低く内部減衰も小さいために,わずかの外乱によって振動の励起や,軌道追随性の低下などが起こりやすく,その制御問題が重要な課題となっており,多くの研究がなされている.しかしその多くは制振のための制御系の付加的設計に関する研究が主となっている.しかし,フレキシブルロボットマニピュレータの軌道および形状を最適化することにより,制振および軌道追随性を向上させることが可能ならば,付加的な制御系の設計に加えて,フレキシブルロボットマニピュレータの運動性能のさらなる向上が期待できる.そこで本研究では,過去筆者らによって提示された剛体ロボットマニピュレータのための最適軌道設計法を基礎としたフレキシブルマニピュレータの最適軌道設計法を新たに提示した.具体的には,つぎのようである. 1. フレキシブルロボットマニピュレータの性能向上のために,リンク形状をも考慮し,フレキシブルロボットマニピュレータの軌道と形状の同時最適化を行い,軌道だけの最適化よりも駆動エネルギの削減と指標軌道と発生軌道との偏差の大幅な低減を可能にした. 2. 駆動エネルギと軌道の偏差の最小化において両者がトレードオフ関係にあることを示し,そのパレート解を求めた. 3. 得られた最適形状の軌道の変化に対するロバスト性の検討を行い,得られた最適形状は軌道の変化に対してロバスト性を有していることを示した. 4. さらに,駆動エネルギのほかロボットマニピュレータの運転コストを支配する重要な要素の一つである作業時間を設計変数と評価関数の一つとして考慮し,軌道・形状・作業時間の同時最適化を行った.また,駆動エネルギ・軌道の偏差・作業時間がお互いにトレードオフ関係にあることを示すと共にそのパレート解を求めた.
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