研究概要 |
筆者らはこれまでに移動ロポットに対し,未知/不整地環境でも高精度な位置同定を可能にする,複数ロポットによる「協調ポジショニングシステム,Cooperative Positioning System,CPS」を提案し,実機を用いた移動測定実験によりその有効性を検討してきた.本年度は新たに第三次機械モデルCPS-IIIを開発し,起伏のある屋外環境において長距離移動実験を行い,CPSによる位置同定精度を測定した. 第三次機械モデルCPS-IIIはレーザレンジファインダ(TOPCON社製,AP-L1)と姿勢センサを搭載した親ロボットと,6つのコーナキューブを搭載した2台の子ロボットからなる.本機械モデルを用い,まず平坦な屋外環境で移動測定実験を行った.親ロボットの総移動距離は277、1[m]であり,途中9回のCPS動作を行っている.姿勢センサ及び仰角の測定値を用いて高さ方向も含む三次元位置同定を行った結果,移動中の最大高低差は2.3[m]であった.さらに移動開始前に測定した固定点を移動終了後に再び観測し,移動後のCPSの同定精度を求めた.その結果,高さ方向も含む三次元位置同定誤差は450.7[mm](移動距離の0.16%),姿勢同定誤差は0.12[deg.]であった.次に起伏のある傾斜地で同様の実験を行った結果,親ロボットの総移動距離は323.9[m],最大高低差10.2[m],三次元位置同定誤差は976.3[mm](移動距離の0.30%)姿勢誤差は0.40[deg.]であった.同定精度が平坦な環境での実験に比べて低い一因として,傾斜面でのコーナキューブの見え方の変化や姿勢センサの測定誤差等が考えられる.
|