研究概要 |
開発する対話型ペットロボットのシステムは,センサ系,認識系,処理系および表現系に大別される.本年度は,このうちセンサ系および認識系を介して得られる外界からの刺激情報と,これまでの経験などの内部情報を処理して感情や意思として表出するための処理系の構築,および表現系としてぬいぐるみ型のペットロボット試作2号機の開発を行った.以下にそれぞれの研究成果について示す. ○感情表出機構の自己学習による感情表出アルゴリズムの開発 本研究では,人間とロボットの親密な関係の確立を目指して,自己の内部状態を人間に理解可能な「感情や意思」として表出し,さらに人間の表出する動作から人間の感情や意思を理解することが可能な対話型ロボットの開発を目的としている.ここで,ロボットは人間の手を煩わせることなく自ら内部状態を最も良く表現する表出方法を獲得しなければならない.そこで,本年度は人間の神経回路網の生理学的構造に基づき,外界から入力される刺激に対して個々の価値判断基準により生得的に神経回路のネットワークを学習し,さらにある環境において形成される集団内で遺伝的に最適な感情表出方法を学習する感情表出アルゴリズムを開発した.計算機上に仮想的なロボットワールドを構築し,シミュレーションにより有効性を検証した. ○対話型ペットロボット試作機の開発 感情や意思を表出するロボットのハードウェアとしてぬいぐるみ型のペットロボット試作2号機を開発した.開発したロボットは,首,両手,腰など12自由度をもつ移動ロボットである.人間が設定した感情表出動作を表現可能であることを確認した.今後,センサを取り付け,感情表出アルゴリズムとの融合を行う.
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