研究概要 |
近接場顕微鏡によるナノスケール加工技術の確立を目指し,平成10年度の研究では,紫外感光性樹脂に対応可能な近接場顕微鏡プローブの作製技術の確立を目標とした。プローブ作製は,1.シングルモード光ファイバーの先端を先鋭化する 2.その側面にアルミニウム等の金属薄膜を蒸着し,直径50nm程度の開口を作製する 3.これにチューニングフォークを取り付けるの三段階からなる。このうち1は,可視光用のシングルモードファイバーでは再現性よく作製する技術がほぼ確立された。紫外用のファイバーにもこの方法は適用でき,現段階ではまだ再現性が完全ではないが,先鋭化された先端の作製は可能である。2の金属薄膜の蒸着は,真空蒸着器を用いて膜圧を制御してアルミニウム蒸着を行うことが可能になった。高品質のファイバープローブを得るための最適な蒸着条件を見つけることが現在の課題となっている。3のチューニングフォークの取り付け作業は,極めて微妙な作業であるため,まず顕微鏡下で精密に位置や角度を調節して接着を行う装置を作製した。これを用いて接着を行い,その取り付け状態を観察し,その後に近接場顕微鏡に取り付けてQ値を測定し,評価するという作業を繰り返した結果,ある条件で十分に高いQ値(>500)が得られることを見い出した。そのような高いQ値を持つファイバープローブを用いると,標準サンプルの形状を測定することが可能だった。今後,これらの成果を活かして実際にNSOM測定および加工に用いることができるファイバーを作製し,三次元加工を行なう。
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