RF(13.56MHz)非平衡放電プラズマに衝撃電界を重畳することによりプラズマ中の電子を短時間のうちに揃って加速し、単一エネルギー的な電子群を生成してフロン12の分解反応の選択性、効率の向上とバルク領域での大体積分解反応の促進を図る技法を流体コードを用いて計算機解析した。 衝撃電界を印加するとプラズマシースの厚さが変化してこれを吸収してしまうため、衝撃電界がバルク領域に到達する時間は限られるが、誘電緩和時間の見積りや数値解析の結果、数ns程度の間は衝撃電界を維持でき、電子エネルギーをフロン12解離のしきい値(中性解離7.2eV、解離性電離12.2eV以上)まで高めることができた。フロン12は高エネルギー領域で中性解離・解離性電離、低エネルギー領域で解離性付着の衝突断面面積を持ち、これらは共に分解反応に寄与する。しかし低エネルギー領域での電子付着が大きいと放電維持が困難になることから、解離性電離を選択的に促進し分解処理と放電維持を同時に図るのが効果的である。 バルク領域へ到達する衝撃電界の大きさは衝撃電界の立ち上がり時間に対して敏感に変化し、衝撃電界の立ち上がりが急峻な程バルクに到達する電界も大きいことが確認された。強度500V/cm、印加時間5nsの衝撃電界について立ち上がり時間を2nsから0.25nsに縮めると、分解処理量は35%程度増加した。この程度の立ち上がり時間は数kV規模の高電圧パルス発生装置で実現しているが、実際の回路では容量と抵抗を小さくしてプラズマ中に大きな変位電流が流れるようにする必要がある。衝撃電界を逆極性で印加しても同程度の電子加速効果が得られたことから考えると、衝撃電界印加は任意の方向で構わないものと思われる。したがって衝撃電界印加のための電極をRF放電駆動用電極とは別に設けて回路定数設定の自由度を高めることも可能と考えられる。
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