研究概要 |
平成10年度は,競争入札環境下において電気事業者はIPPに対して誘導価格を提示し,IPPは各々最適に行動することによって予防制御が達成されるとの考え方に立ち,具体的な誘導価格の算定手法を開発した。得られた成果をまとめると以下のようになる。 1. 競争環境下における予防制御問題を定式化するに当たり,妥当と思われる以下の3つのルールを仮定した。(ルールl)電力会社は予防制御のためのIPPの契約外出力値の指令を出すことはできない。(ルール2)電力会社はIPPの契約出力と契約外出力と差分に対して,誘導価格なる買電価格を設定する。(ルール3)電力会社はIPPの燃料費特性を知ることはできない。 2. 上記の仮定の下で,IPPからの契約電力を一定に維持することを制約条件とし,電気事業者の総コストを最小化する予防制御問題を定式化した。本問題の最適条件において得られるIPPからの契約電力に対するラグランジェ乗数は,IPPの契約電力を微少量変化させることによる電力会社のコストの変化分を表すことになり,この値を予防制御のための誘導価格として与えることができることを理論的に導出した。 3. 潮流最適化手法を用いて,上記の誘導価格を算定する具体的なアルゴリズムを開発した。 4. 簡単なモデル系統を用いてシミュレーションを行った結果,IPPが接続されている地点(母線)によって予防制御の効果に差が生ずるが,それが購入単価に適切に反映されていることを確認した。
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