研究概要 |
空間電荷存在下の放電進展機構の実験的研究として、(A)高気圧窒素中レーザ誘導放電形態として、S放電、G放電、コロナ状放電といった各種形態が存在する事を明らかにした。(B)(A)で述べた各種放電形態の、放電路の本数、放電進展速度、放電進展経路などをハイスピードカメラ撮影により観測し、その進展速度がイオンドリフト速度と比較しても2桁程度低速である事を、明らかにした。以上の結果は、平成10年度本学修士論文「高気圧窒素中空間電荷の移動と放電誘導に関する研究」に詳しくまとめられている。 空間電荷存在下の放電進展のシミュレーションとして、(a)レーザ生成空間電荷の移動のシミュレーションを電荷重畳法に基づいて実行し、空間電荷の時間的な拡散、電界によるドリフト、電極への吸収といった挙動の定量計算を可能とした。(b)(a)に伴い電極先端電界の上昇がシミュレートされ、自然火花電界を上回る電界となることが明らかになり、放電誘発の一因となっている事が推定された。(c)リーダ周辺部に空間電荷層の存在を仮定した場合のリーダ周辺部の数値電界計算により、リーダ進展速度が低速である理由は、空間電荷層の存在による電界遮蔽効果が極めて顕著であるためと推定された。また、(d)沿面リーダ進展時の数値電界計算、(e)沿面リーダ伸展に予備帯電が及ぼす影響の数値計算、を表面電荷法に基づいて実行し、空間電荷存在時の数値電界計算手法の確立とその有効性の検証を試みた。 (a),(b)の結果は電気学会放電研究会資料ED-98-36に(c)の結果は平成10年度本学修士論文「高気圧窒素中空間電荷の移動と放電誘導に関する研究」に、(d),(e)の結果は電気学会放電研究会資料ED-98-169にまとめられている。
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