研究概要 |
電力系統では、つねに需要と供給のバランスが保たれていなければならない。安定な電力系統運用を行うためには,発電機の故障や需要予測誤差に伴う供給不足を防ぐため,需要の約8〜12%の発電予備力を常に維持しておく必要がある。この発電予備力は従来の発電機経済配分法により得られた発電機の最適出力から増加/減少されることにより得られるため,系統全体の総発電費用は最適運用点よりも必ず高コストとなる。そこで,このコスト上昇分の総和に発電機の起動停止費用を含めたものを発電予備力コストとして定義し,発電予備力コスト最適化問題の定式化を行った。また,上記定式化に基づいて,発電予備力コスト最適化プログラムを作成し,10機系統に適用し,その有効性を示した。さらに,電気事業者は送配電において地域独占であるという日本の現状に則して,発電予備力市場が自由化された場合の電気事業者/独立発電事業者/需要家に対する発電予備力供給モデルを作成し,新しい発電予備力供給システムを提案した。 次年度では,提案した発電予備力供給システムを用いて,ゲーム理論を導入して発電予備力の価格に対して電気事業者/独立発電事業者/需要家の発電予備力がどの程度市場参入を行うかを検討する予定である。また,シミュレーションに基づいて,電気事業者が計画している調整用発電所や揚水発電所の建設繰り延べによるコスト削減についての評価を行う。
|