研究概要 |
本研究は、インパルス高電圧測定に使用するディジタル測定器を高精度に校正する技術の開発が目的であり、本年度は主に内外のインパルス測定に用いられるディジタル測定器ならびに校正器の現状およびそれらに関する規格等の調査、実際に使用されている校正器の精度の調査ならびに、国家標準直流電圧とインパルス電圧波高値とを関連づける技術の一手法としてステップ応答によるインパルススケールファクタの試験法をとりあげ、その精度の検証を行った。 その結果、本年度は以下の様な実績を得たので報告する。 1. 内外で製品として市販されているインパルス測定用ディジタル測定器は次の通りである。ここでカッコ内は国名、分解能、サンプリングレート(共に大きい値ほど高性能)である ・HIAS743(スイス12ビット120MS/s) ・TR-AS200-12(ドイツ12ビット200MS/s)・PowerPro610(アメリカ10ビット100MS/s) また、インパルス専用器ではないが、国内の各高電圧機関での調査の結果、以下の機種も多く使用されている。 ・RTD710A(日本10ビット100MS/s) 2. 内外で製品として市販されているインパルス校正器は次の通りである ・RIC422(スイス) ・KAL1000(ドイツ)共に最高で、波高値の測定の不確かさ0.7%時間測定の不確かさ2%・CG5710(日本) ・IGI.5CAL(アメリカ)共に、波高値の測定の不確かさ2%時間測定の不確かさ4%以上のように、現状は最高0.7%の不確かさで国家標準にトレーサビリティがとれていることが確認できた。 3. ディジタル測定器に関する内外規格は次のとおりである ・国際規格:IEC-61083 Digital recorders for measurements in high voltage impulse tests,Part 1-Requirements for digital recorders,(1991) :IEEE-1122 Digital recorders for measurements in high voltage impulse tests ・国内規格:JEC-0221インパルス試験用ディジタルレコーダ第1部 ディジタルレコーダに対する要求事項 なお、JEC規格に関しては本研究の研究代表者も委員会構成員として参加し、規格の制定に大きく寄与している。 4. ステップ応答による直流電圧とインパルス電圧との関連づけ 直流電圧を水銀スイッチで急速に接地して得られたステップ電圧(電圧は日本電気計器検定所(JEMIC)で0.01%に校正されたディジタル電圧計(8.5桁)で測定)をディジタルレコーダに印加して、その応答を測定した。インパルス電圧を測定する領域(0.5μ秒〜)での応答の変動率は0.4%fsd以下であり、ディジタル測定器の内部ノイズレベル以下のステップ電圧及び応答が得られた。
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