光ファイバ・プリフォームには、光ファイバの屈折率プロファイルや熱膨張率を制御するために、各種の不純物が添加されており、径方向の化学組成比が異なる。このため、プリフォームの製造およびファイバ線引きの過程において内部残留応力が生じる。本研究は、LFB超音波顕微鏡による光ファイバ・プリフォームの弾性特性、特に内部残留応力を定量的に評価する方法の開発を目指すものである。本年度は、試料の作製および光学特性の評価を行った。以下に実施内容を示す。 気相軸付け(VAD)法により長さ100mm、直径20mm程度の純粋な石英ガラスロッド、及び単一ドーパントを添加した石英ガラスロッドを作製した。ドーパントとしては、GeO_2、P_2O_5、及びB_2O_3を取り上げ、不純物濃度の異なる複数のガラスロッドを作製した。音響特性と比較するための基礎データとして、プリフォームアナライザにより屈折率分布の測定を行った。これより、作製した試料は径方向に均一にドーパントが添加されておらず、中心部の濃度が高く、外周部にいくに従い濃度が低下していることが分かった。 屈折率の測定後、各ロッドから厚さ4mm程度の円盤を切り出し、両面を光学研磨し音響特性測定用の試料を作製した。試料の切り出しにおいてクラックが生じやすいことから、本試料には、内部残留応力が存在すると考えられる。 今後、作製した試料に対して音響特性の測定及び元素分析を行い、音響特性と各ドーパント濃度の関係を調べ、内部残留応力の評価法について検討を進める予定である。
|