反射高速電子回折の入射電子励起による特性X線の高分解能分光装置を開発した。分光器にはGe(111)単結晶面を二段で用い、検出器にはNalシンチレータと光電子増倍管を組み合わせたものを用いた。各々の単結晶の回転には最小ステップ角0.35秒のステッヒングモーターをそれぞれ独立に用いた。本装置でステンレス304表面、MgO(001)表面上のFe薄膜(80層)からのFe K_a特性X線の検出を行い、分解能(【right filled triangle】E/E)1.0×10^<-3>を得ることができた。半導体検出器(SSD)を用いた場合の分解能は3×10^<-2>程度であり、一桁以上の高分解能化を達成した。またこれにより、SSDを用いた場合は分離できなかったFe K_<a1>とFe K_<a2>とを明確に分離することが出来た。 しかし、目的の1eV程度の分解能と比べると一桁ほど悪く、その理由として試料と回折結晶との位置関係及び電子線の幅が効いてきていると考えられる。これらの条件を早急に詰め、先ずは膜厚によるFeの結合状態の違いを評価できるようにしていく。さらに、電子線の入射方向を変えることにより電子の入射深度を変え、各層における結合状態の変化を探る予定である。
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