次世代の超高密度メモリとして期待の大きいホログラフィック光メモリの基礎研究として、波長多重記録方式実現のため必要不可欠な新型レーザーを提案し、光源および光メモリの実験的、理論的検討を行っている。本年度は以下の様な成果を得た。 (1) 励起光源の開発 フォトリフラクティブ光メモリ用として、感度のいちばん高い青緑領域の波長可変光源を開発した。具体的には、これまで研究してきた山励起Yb:YAGレーザーの第二高調波(SHG)の広帯域波長可変化を検討した。高密度記録光メモリ用の広帯域波長可変青緑域Yb:YAGレーザーの共振器内部SHGにより目標としていた100mW出力には、わずかに及ばなかったが80mW出力まで得られた。さらに、波長可変域は514.4nm〜530.0nmと目標値を上回る15.6nmを達成した。 (2) 角度多重記録型ホログラフィック光メモリの検討 先の検討で、Yb:YAG-SHGレーザーが予定より早く試作できたため、初期に予定していた共振器内部SHG型LD励起Nd:YVO_4レーザーを用いた実験は省略し、今回のレーザーを用いて、ホログラフィック光メモリの実験的検討を進めた。Nd:YVO_4レーザーは手軽に入手できるが、波長域が異なることと、波長可変動作は不可能であり、本課題の最終目標は達成できないからである。Yb:YAG-SHGレーザーを用いて、今回、1%Feイオン添加のLNにおいて角度多重記録を確認した。現在、分解能など基本的な特性を評価中である。次年度は最終目標としている波長多重記録方式を検討する予定である。
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