本年度は、現有のECR SiH_4/H_2プラズマ装置に、イオン・電子を曲げ、中性のラジカルのみ基板に入射させるための荷電粒子フィルタの磁場配位を検討した。まず、基板上での磁石間の磁場強度を上げ、磁石上下領域への漏れ磁場を少なくする磁場配位とその漏れ磁場が存在する磁場配位の荷電粒子フィルタを作成した。それぞれを用いた場合の多結晶シリコン堆積速度及び結晶化率の検討を行った。 その結果、漏れ磁場のある磁場配位の方が漏れ磁場のない磁場配位に比べ堆積速度は約1/2に落ちるが、結晶化率は40%程度高く約70%となった。また、H_2プラズマにより、同条件で、プローブ測定した結果漏れ磁場のないタイプでは、荷電粒子が測定され、磁石を設置しないときと比べて1桁程度の荷電粒子しか除去できていないことが判明した。また、漏れ磁場があるタイプは約5桁程度荷電粒子が除去でき良好な除去効率が実現できた。 さらに、プラズマ中のH_2の希釈率を高め、全圧力を下げた場合、結晶化率は向上したが、堆積度が減少した。入力電力に関しては装置の特性上400Wが上限であったが、さらに800Wまで入力可能なようにECRチャンバの改良を行った。これにより、結晶化率は70%程度で、従来の成長速度より約2倍の堆積速度の実現に成功した。 今後は、この装置を用い基板表面の修飾を行い、低温でガラス基板界面の成長を制御しうる情報を得る予定である。
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