本年度では、主に、筆者の提案する区分線形回路の基本的なbifurcationについて解析を行なった。さらに、申請者が提案するカオス制御を適用し、この方法によって不安定解を安定化できることを明らかにした。 【1】分岐ダイヤグラムの作成:本研究で提案する回路モデルは区分的に線形であるため、解は局所的に解析的厳密に求まり、ポアンカレ写像は超越方程式によって厳密に記述されることを明らかにした。このポアンカレ写像を用いて分岐ダイヤグラムを作成すた。特にLi-Yorkeの拡張された3周期条件を満たすパラメータ領域を求めた。この条件が満たされる場合には、Li-Yorkeの意味におけるカオスが発生すること、任意の自然数nに対してn周期解の存在することが知られている。 【2】カオス制御:上で述べたLi-Yorkeの拡張された3周期条件が満たされる領域にパラメータを設定し、この領域でカオス制御を行なった。その結果、数値実験においては、Li-Yorkeの定理で明らかにされている不安定周期解を問題なく安定化できることが明らかとなった。本研究で提案するカオス制御法には問題点はないように思われた。数値実験で安定化することのできた不安定周期解を実際の回路実験において実現することが来年度の課題である。
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