研究概要 |
本年度は、多重スケール表現による心電図の階層化伝送を目標として、ウェーブレット変換による心電図特徴点解析と特徴点の分類、 分類結果に基づく波形圧縮を行った。ウェーブレット基底として平滑化関数の2階導関数を用い、変曲点上でピークを発生させることで、多重スケール解析を実現した。各スケールで発生したピークに関する発生時間および振幅で特徴ベクトルを構成し、ベクトルをクラスタリングすることで心電図のP-QRS-T波の発生、ピーク、消滅時刻の計測が可能であることを示した。実際の心電図波形データに適用し、R-R間隔の測定、不整脈検出に利用可能であることを確認した。さらに、特徴ベクトルに付加情報を与えることで波形圧縮を実現し、PRD(Percent Root Distance)8%以下の精度で1/10以下にデータ圧縮が行えることを確認した。また、信号展開法としてMatching Pursuitsを心電図波形に適用し、波形解析と波形符号化の可能性を検討した。ガウス関数の2階微分関数およびガウス関数を基底として用いることで、20個以下の基底数で実用上十分な波形近時が実現できることを確認した。従来の符号化法で用いられてきた直交変換よりも少ない基底数で高精度の波形近似が可能であるために,Matching Pursuits を波形符号化に用いることで、変換符号化法よりも高能率な波形符号化が期待できる。さらにMatching Pursuitsを符号化へ適用するために高速演算法、また係数量子化の影響を軽減するための誤差伝播法を提案し、効果を確認した。
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