本年度は、アフィン代数多様体上の符号の一般化ハミング重みの定式化に関する研究を主として行った。その結果、以下の4つの新たな知見を得た。 1. 符号の検査行列を与えるベクトルに対して、与えられた単項式順序に従って順序を定める。このとき、順序付けられたベクトルの列の部分的な一次独立性から一般化ハミング重みの下界が得られることを、申請者は既に明らかにしている。さらに、Grobner basisの性質を効果的に用いることにより、この下界をより厳密なものとした。 2. well-behavingとよばれる概念を用いて、ベクトル列の部分的な一次独立性に対して更に詳細な考察を加え、1.で与えた一般化ハミング重みの下界式を更に拡張した。このとき、拡張された下界式はl.で得られた下界式を更に改善していることも明らかにした。 3. 2.で得られた下界式について、等号が成り立つ場合にはその等号条件について考察した。その結果、リード・ソロモン符号、リード・マラー符号に対して、符号を定めるパラメタによりその条件を定式化した。 4. Pellikaanらによって提案されているOrder boundとよばれる一般化ハミング重みの下界と2.で得られた下界の計算量を比較し、双方の特徴を明らかにした。
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