名前サーバーは、通常、静的に割り当てられたアドレスと名前の対応を用いてサービスを提供するため、DHCPなどを用いた動的アドレス割当に対応していない。動的アドレス割り当てに対応させるためには、実際にアドレス割当を行うDHCPサーバなどと連携する必要がある。本年度は、動的アドレス割り当てに対応させるためにどのような形態をとればよいのかについて研究を行った。DHCPサーバと名前サーバとをモノリシックな形態でまとめてしまうと、それぞれのコンポーネントの機能追加などに柔軟性が欠けでしまう。また、この構成を採用する場合には既存のシステムを利用することが出来ないため、開発コストもかかる。そこで本研究では、DHCPサーバや名前サーバには既存のものを利用し、両者の連携機能だけを付加する戦略を取る。この場合にも、DHCPサーバから情報を得る方法として2つが考えられる。1つはDHCPサーバに修正を加える方法であり、もう1つがDHCPのメッセージを直接監視する方法である。サーバに対する負荷の問題などから前者の方法を利用する。これらのデザインに基づき、プロトタイプシステムを作成したが、既存の名前サーバのキャッシュがクリアされるまでに時間がかかるため、期待された効果が得られないことが分かった。また、同様なシステムとして、WindowsNTで利用可能なDHCPサーバとWINSサーバの連携機能と、WINSサーバとDNSサーバの連携機能を組み合わせた場合の効果も検査したが、やはり同様な結果であった。今後は、積極的にキャッシュを制御するための方式について研究を進める。
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